【潜水艦に関する雑学特集】 その2世界初の原子力潜水艦〈ノーティラス〉
潜水艦に関する雑学特集第2段目は世界初の原子力潜水艦〈ノーティラス〉の偉業についてです!
原子力潜水艦って?
原子力潜水艦とは、動力に原子炉を使用する潜水艦のことです。原子力船は、少ない燃料で大出力と長い航続距離が得られ、さらに燃料の燃焼に酸素が不要という特徴があります。そういったことから、軍用、商用を問わず強い関心が持たれ、1950〜1960年代にかけて、米国、ドイツ、ソ連などで相次いで就航しました。
〈ノーティラス〉の偉業
中でも1954年に進水した世界初の原子力潜水艦〈ノーティラス〉は、今までの潜水艦とは一線を画した性能を持ち、安全潜入深度が700ft(213m)に達し、水中での速力が20ノットを超えたうえ、燃料交換をせずに62,562マイルもの航海が可能になりました。また、ノーティラスは史上初めて潜航状態で北極点を通過した船艦としても有名です。(太平洋側からグリーンランド側へ抜けました。)
現存の原子力船
現存する原子力船のほとんどはアメリカ海軍の空母や潜水艦で、民生用として建造されたものは、ロシアの砕氷船を数隻残し、ほとんどが退役しています。日本初の原子力船〈むつ〉もすでに退役しました。むつは1993年に原子炉を撤去され、現在は海洋地球研究船〈みらい〉として運航しています。
現在の〈ノーティラス〉
ノーティラスは1980年3月30日退役しました。以後、解体されることなくコネチカット州グロトンで記念艦としてアメリカ海軍潜水艦隊博物館に保存・公開されています。
まとめ
・世界初の原子力潜水艦〈ノーティラス〉は史上初めて潜航状態で北極点を通過した。
・原子力船の主なメリットは、「少ない燃料で大出力」と「長い航続距離」が得られること
・日本初の原子力選〈むつ〉はすでに退役しており、海洋研究船になっている
【潜水艦に関する雑学特集】その1潜水艦ってどうやって浮き沈みしているの?
先日、海上自衛隊潜水艦部隊のホームページが開設されたニュースをご紹介しました!とても素晴らしい写真が盛り沢山なので、ぜひ一度ご覧ください。
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ということで、今回から3回に渡って潜水艦に関する雑学をご紹介したいと思います!
潜水艦が浮き沈みする仕組み
そもそも、鉄の塊でできたような潜水艦が、自在に沈んだり浮いたりできるのはなぜでしょう。その原理は、艇体に海水を入れたり出したりして、その重量を変えて浮力を調整する、というものです。そのためのシステムとして、海水の出し入れを行う、「バラストタンク」と、空気を高圧で圧縮して蓄えておく「気蓄器」があります。
潜航するときはバラストタンクに海水を入れると、艦の重量が浮力より大きくなって沈みます。逆に浮上するときは気蓄器の空気をバラストタンクに注入して海水を排水し、艦の重量をかるくします。
このほかに水中での姿勢制御用として「トリムタンク」があります。これは文字通りトリム(艦の前後の傾き)調整用で、艦隊前後に2ヶ所設置され、注水して前後の浮力比を操作します。
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祝!海上自衛隊潜水艦隊ホームページ開設
海上自衛隊潜水艦隊のホームページ開設のニュースを発見!
早速確認してみました!リリースしたばかりなので、ボリュームはそこまでないですが、写真集のページには、海上に浮上する瞬間の潜水艦や、バックに花火が上がっている停留中の潜水艦など、貴重な写真が盛りだくさんでした!
また、海上自衛隊に所属している潜水艦の一覧も見ることができるのですが、艦名が全て「○○しお」または「○○りゅう」になっているなど、法則性も見つけることができて面白かったです。
【ニュース】海上自衛隊 潜水艦隊、ホームページを開設 https://t.co/zGidC3VKpE
— 船舶情報 FUNECO (@FunecoJp) 2021年2月2日
今後コンテンツがさらに充実していくことを期待しています!
「取舵一杯!!!」どっちへ進めばいい?船乗りじゃなくても知っておきたい船の専門用語3選
今回は船乗りじゃなくても船好きなら知っておきたい専門用語3選をご紹介します!
1 ようそろ
「ようそろ」は漢字で「宜候」と書き、「そのままの針路を保て」を意味します。海上自衛隊の艦船では、現在でも操舵号令を日本語で行っており、「今の針路ようそろ」という風に使われます。船がその針路に乗ったら操舵手は、「〇〇ようそろ」を復唱します。
ちなみに、英語では「ステディ(Steady)」と言い、今の針路ようそろは、「ステディ・アズ・シー・ゴーズ(Steady as she goes.)」となります。
2 取舵・面舵
テレビや映画などで、船の向きを変えるときに、「おもかじいっぱーい!」と号令をかけているのを見かけることがありますよね。右に舵を取ることを「面舵(おもかじ)」、左に舵を取ることを「取舵(とりかじ)」といいます。昔使われていた和磁石では方位の目盛りが十二支になっており、卯の方向に舵を切ると船は右に、酉の方向に舵を切ると船は左に進みます。
ちなみに、面舵は、「卯面舵(うむかじ)」から転化しました。
3 レッコ
「レッコ」は錨を投下するときの号令として使われます。レッコは英語の「Let go」のことです。錨を投下する以外にも、「もやいレッコ」→「ロープを解いて離せ」、「ゴミをレッコ」→「ゴミを捨てて」といった風に使われます。
まとめ
・ようそろ→針路はそのままで
・取舵→船の進行方向は「左」、面舵→船の進行方向は「右」
・レッコアンカー→「投錨しろ」
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雨の日も雪の日も「本日は晴天なり」?!「本日は”曇天”なり」がダメな理由
無線局がマイクテストや無線電話の調整として電波を発射したり、海上保安庁所属の通信所が海上予報や海上警報を発するときに連呼する「本日は晴天なり」。雨や雪、台風の日にも関わらず「本日は晴天なり」です。なぜなのでしょうか。
「本日は晴天なり」は法律で決められた文言
無線局運用規則という法律で、試験電波を発射するときは、「本日は晴天なり」を使うように決められています。従って、天気が悪いからといって「本日は曇天なり」とか「本日は雨天なり」とは言えません。
「本日は晴天なり」になった理由
「本日は晴天なり」の語は、アメリカのマイクテスト「It's fine today.」を直訳したものです。It's fine today.には英語の発音に必要な要素が全て含まれているため、この語が採用されましたが、「本日は晴天なり」には発声、発音に関して特別な意味はありません。
試験目的なんだから、もう少し合理的な語がいいのでは・・・と思うのですが、一度定着したら中々変えづらいのでしょうね。
無線局運用規則第39条
無線局は、無線機器の試験又は調整のため電波の発射を必要とするときは、発射する前に自局の発射しようとする電波の周波数及びその他必要と認める周波数によつて聴守し、他の無線局の通信に混信を与えないことを確かめた後、次の符号を順次送信し、更に一分間聴守を行い、他の無線局から停止の請求がない場合に限り、「VVV」の連続及び自局の呼出符号一回を送信しなければならない。この場合において、「VVV」の連続及び自局の呼出符号の送信は、十秒間をこえてはならない。
一 EX 三回
二 DE 一回
三 自局の呼出符号 三回
2 前項の試験又は調整中は、しばしばその電波の周波数により聴守を行い、他の無線局から停止の要求がないかどうかを確かめなければならない。
3 第一項後段の規定にかかわらず、海上移動業務以外の業務の無線局にあつては、必要があるときは、十秒間をこえて「VVV」の連続及び自局の呼出符号の送信をすることができる。無線電話の場合には無線電信用略符号に代えて、次のような無線電話用略語を用いなければならない(無線局運用規則第14条第1項、別表第4号)。
略語 意義又は左欄の略語に相当する無線電信通信の略符号
ただいま試験中 EX
こちらは DE
自局の呼出符号 自局の呼出名称(又は呼出符号)
本日は晴天なり VVV無線設備の機器の試験又は調整のための電波の発射が、他の既に行なわれている通信に混信を与える旨の通知を受けたときは、直ちにその発射を中止しなければならない(無線局運用規則第22条第1項)。
1月29日は南極の日でした!理由は知っていますか?
一日遅れてしまいましたが、昨日1月29日は南極の日でした。先日、日本の南極観測船の歴史についての記事を書きましたが、今回のトピックに非常に関わりが深いので、よろしければそちらも一緒にご覧ください。
【参考記事】
funeken-taisaku.hatenablog.com
1月29日は「南極の日 昭和基地開設記念日」
1956年に出発した日本の初代南極観測船「宗谷」で、第1次南極観測隊53名が翌年東オングル島(南極大陸から約5km離れた場所にある島。)に到着し、1957年1月29日観測隊の隊長永田武氏が当地を昭和基地と命名しました。よく南極の日に昭和基地が完成したと勘違いされるのですが、正しくは、そこに上陸した人が、「ここを昭和基地とする!」と宣言した日、ということなのですね!
日本で初めて南極探検を行った「白瀬矗」
せっかくなので、南極観測の歴史を原点まで遡ってみましょう。白瀬矗(しらせのぶ)は、1912年に日本で初めて木造機帆船〈開南丸〉による南極探検を行いました。
最初は北極を目指した白瀬でしたが、アメリカの探検家、ロバート・ピアリーの北極点到達を知ると計画を南極に変更し、1910年11月28日、隊員27人とともに、〈開南丸〉で東京芝浦港を出向しました。ちなみに、開南丸を命名したのは東郷平八郎です。
南極探検旗
この開南丸のマストには、隊旗「南極探検旗」が掲げられていました。これは4つの星をダイヤモンド形に結んだデザインで南十字旗とも呼ばれ、硬い団結と信頼を表しています。
大和雪原
困難な公開を経て、開南湾(白瀬命名)に到着した後も過酷な探検は続き、ついに南極点到達を断念しました。1912年1月28日に到達した南緯80度50分周辺一帯を「大和雪原」と命名して帰国の途につきました。ただ、残念なことに、日章旗を立てた地点は、大陸ではなく氷上でした。
余談ですが、白瀬矗は秋田県金浦村(現・にかほ市)の歴史あるお寺の長男として生まれました。白瀬矗の業績を記念するため、にかほ市には知らせ南極探検隊記念館が建てられています。また、記念館周辺の「南極公園」には、開南丸のレプリカもあります。
まとめ
・日本で初めて木造機帆船による南極探検を行ったのは「白瀬矗」
・その際に使われた船の名前は〈開南丸〉
・白瀬は南極点到達を断念し、「大和雪原」と名付けた地点は大陸ではなく氷だった
Dr. Stoneにも登場!ステルス艦の仕組みについて
先週のジャンプのDr.Stoneで、主人公の千空たちがステルス艦のクラフトにトライしていましたね!結局ステルス性能がイマイチだったので別の方法を取りましたが、さすがの千空でも軍事機密レベルの造船はできなかったようですね。
ということで、今回はステルス艦の仕組みについて、簡単に解説していきたいと思います。
「こっそり」を意味するステルスは、敵から探知されづらくする軍事技術の意味でよく使われます。
ステルス性能を実現するための要素はいくつかありますが、索敵の最も有効な手段はレーダーなので、レーダーに映らない船体を作ればステルス航行できるようになります。
そもそもレーダーは電波を発射し、対象物に当たった反射波を捕捉して対象物の存在を確認する仕組みになっています。レーダーを掻い潜る手っ取り早い方法は、飛んできたレーダー波をあらぬ方向に反射させる形状にすることです。(他には電波を吸収する材料を利用する方法などもあります。)
そのために取り入れられたのが、タンブルホームという船型です。これは舷側を甲板に向かって内傾させたもので、上部構造物も上方ほど尖らせることで、レーダー反射板を空に逃がして探知されづらくしています。
もとは帆船のマストを支える横静索(シュラウド)をまっすぐ舷側に固定するために考案された船型ですが、全く別の用途に使われています。
電波をあらぬ方向に反射させるという、言ってしまえば案外単純な仕組みなのですが、ステルス艦のカクカクで近未来的なフォルムがとてもかっこいいと感じるのは筆者だけでしょうか。
まとめ
・ステルス艦の多くは舷側や上部構造物を内側に傾斜させてレーダー波を空に向かって反射せている
・このような船型をタンブルホームという
・もともとはステルス機能とは別の用途で使われた帆船の船型だった