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スタバのロゴにもなっている!全船乗りが恐れる「セイレーン」とは?

突然ですが、みなさんはスターバックスによく行きますか?

筆者の最寄りのスターバックスはいつも長蛇の列ができているほどの激戦店なので、並ぶのが嫌いな私はもっぱらドトールタリーズを選ぶのですが、やはり列に並んでも注文したいほどの商品のクオリティとブランド力を持つカフェがスタバですよね!

今回はそんなスタバのロゴに関するお話をしていきたいと思います。

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Photo by Khadeeja Yasser on Unsplash

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「え、人魚でしょ?」と思ったあなた、正解です!

では、なぜカフェなのに人魚なのでしょう?スタバのロゴの人魚は、正確には「セイレーン」といいます。セイレーンは歌声がとても綺麗で、その歌声を聞いた船乗りを魅了したということで、同じように、スターバックスも多くの人々を魅了したい、という思いが込められています。この、可愛らしい人魚のようなデザインのセイレーンは、実は船乗りを魅了するだけの存在ではないんです。

 

では本題に移っていきましょう!

 

まずは、セイレーンを辞書で調べてみましょう。

そうすると、

ギリシャ神話で、上半身は女、下半身は鳥の姿をした海の魔物。美しい歌声で船人を惑わして、破滅させたという。」

dictionary.goo.ne.jp

と出ます。

 

ここで、皆さん、あれ?と思いません。

上半身は女、下半身は「鳥」の姿

スタバのロゴは人魚なのに、鳥になっていますね。

 

どっちが正しいの?となりますが、ギリシャ神話上のセイレーンは「鳥」の方が正しいです。実は、下半身が魚になったのは後世の話なんです。

なぜ鳥から魚になったのかは、後ほどお伝えしますが、まずは、下半身が鳥の方のセイレーンを描いた有名な絵画を一つみていただきたいと思います。

 

これです。

File:JOHN WILLIAM WATERHOUSE - Ulises y las Sirenas (National Gallery of Victoria, Melbourne, 1891. Óleo sobre lienzo, 100.6 x 202 cm).jpg
commons.wikimedia.org

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きっも・・・

この絵だと下半身どころじゃなくて、体の9割鳥ですね・・・

私はこの絵を見るまで、遊戯王カードのハーピィレディみたいなのをイメージしていたんですが、この絵が衝撃的すぎて、完全にイメージを塗り替えられてしまいました。

セイレーンはシチリア島近くのアンテモエッサ島に住んでいたとされています。

先ほどの辞書では、「美しい歌声で船人を惑わして、破滅させたという。」と書いてありましたが、もっと具体的に言うと、船乗りたちを遭難や難破に遭わせて、さらに、歌声に魅惑された船乗りたちを喰い殺したと言われています。食い殺された船名乗りたちの骨が、島に山を作った程らしいです。

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ウィリアム・エッティ 『セイレーンたちとユリシーズ』 1837年 マンチェスター市立美術館所蔵

めっちゃ怖いですね・・・急にホラー

下半身が、鳥から魚に変わった経緯について話しましょう。諸説あるらしいですが、一番有力なのは、誤訳が原因らしいです。

7世紀から8世紀頃に「怪物の書」というものが書かれました。作者は不明で、中世のラテン語で書かれています。これはなんなのかと言うと、超自然的な生物の目録。 今で言うポケモン図鑑みたいなものですかね。そこにはセイレーンも書かれていました。他に有名どころで言うと、ケンタウロスなんかも書かれていたみたいですね。

ここで何が起きたかと言うと、まず、セイレーンはギリシャ神話に登場する海の精なので、伝承もギリシャ語ですね。ギリシャ語では、「羽」と「鱗」が同じ単語だったらしいです。そこで、この本の作者が、本当は「下半身が羽で覆われている」とするべきところを「鱗で覆われている」と訳してしまい、後世になって「人魚」になったらしいです。

先ほどの元祖セイレーンは明らかに妖怪って感じでしたが、人魚になると美しく描かれるものが多いですね。

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フレデリック・レイトン 『漁夫とセイレーン』 1856年-1858年 個人所蔵

この絵なんか、男完全に落ちてますね。歌声で魅了したらしいですが、それだけなんだろうか、と疑いたくなりますよね。言い訳なんじゃなかと。あくまで歌声に魅了されたんであって、それ以外に魅了されたわけじゃないですから!みたいな。 

ちなみに、最初の絵に戻りますと。

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ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの1891年の作品『オデュッセウスとセイレーンたち』。ヴィクトリア国立美術館所蔵。

このマストに結ばれている人、よく生贄やおとりと勘違いされるんですが、この人は、あの有名なギリシャの英雄のオデュッセウスです。

セイレーンのいる海域を通る時に、オデュッセウスは自分の船員たちには耳栓をさせてセイレーンの歌声が聞こえないようにして、自分は耳栓をせずに自分の体をマストに縛り付けたました。1人だけセイレーンの歌が聞こえるオデュッセウスが暴れ出すと、歌に惑わされていると判断して船を速く進めてその海域を脱出して、オデュッセウスが落ち着くともう安全であると判断して、みんな耳栓をとって船を進めた。と言うことらしいです。

ちなみに、警告音を発するサイレンは、英語表記ではギリシャ神話のセイレーンと全く同じ綴りで、セイレーンの歌声が聞こえたら危険と言うことから、危険を知らせる音を「サイレン」と言うようになったと言われています。

また、同時に、セイレーンは美化されて音楽の守護神とされることもあります。サイレンを英和辞書で引くと必ず最後の方に「美しい歌手」と出てきます。

とまあ、こうやって見るとセイレーンって「恐ろしさ」と「美しさ」の両面を兼ね備えた、興味深い存在だと言うことがわかりますね。綺麗な花にはとげがあるみたいな。そういったところもまた魅力的なのかなとも思いました。

今回は船乗りに古くより恐れられてきたセイレーンについて解説していきましたが、いかがでしたでしょうか。

まとめ

・セイレーンはギリシャ神話に登場する海の精

・美しい歌声で航行中の人を惑わせて遭難や難破させた挙げ句食べたりする

・もともとは上半身が人間の女性で下半身が鳥の姿だった

 

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