なぜまっすぐ行かない?大圏航法を解説
アメリカ西海岸のサンフランシスコは東京と同じくらいの緯度ですが、東京からサンフランシスコに向けて航海するときは、真東に向かわず、アリューシャン列島の近くを通っていきます。どうしてでしょう?
大圏航路
地球上の2地点間の最短距離は、地球儀とヒモがあれば分かります。丸い地球儀上で東京とサンフランシスコを通るようにヒモをピンと張れば、それが最短航路であり、2地点を通る大圏(地球における大円のこと)の一部です。
海図は経度線が平行に引かれた漸長線(メルカトル図法)で描かれているため、海図上でこの大圏航路をたどると、北の方へ弓上に遠回りをしているように見えますが、実際は最短航路となります。緯度線に沿って真東に行くと、かえって遠回りになってしまいます。
日本から北米に向かう大圏航路はアリューシャン諸島の付近を通ることになるのですが、この海域は荒天が続くことが多く、航行の難所として知られています。そこで、実際の航海では、大圏航路を踏まえつつ、天候の動向や積荷の状況、燃料消費量などを考えて、最適な航路を選定しています。
弾道ミサイルの飛行コースにも
軍事上の観点からは、大圏コースは弾道ミサイルの飛行コースとして認識されています。旧ソ連、中国、北朝鮮からアメリカ合衆国本土を狙うミサイルは、大圏コースとして北極圏上空を飛行するため、アラスカやグリーンランドのレーダー基地で探知することになります。
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