船の所属会社は「ファンネル」で判断しよう!
「ファンネル」と聞くとなぜかガンダムを連想する方が少なくないようですが、船好きであれば船の煙突を指す言葉にしか聞こえません。
ファンネルは蒸気船から出る煙を逃がすために設置されたので、もともとはすすの汚れが目立たないように黒く塗られていました。
石炭以外を燃料とする船舶が少なくなった現代では、エンジンから出る煙の量も少なくなり、実際に煙が出る排気管は細いパイプで十分になりました。
そのため、すすの汚れに配慮して黒く塗る必要がなくなり、ファンネルにはその船会社を識別するための手段として、所属会社のロゴなどが着色されるようになりました。
特にクルーズ船のファンネルは、船会社の特徴が顕著に現れているものもあり、見ていて面白いです。一般的に、ファンネルマークが描かれているのは化粧煙突で、この中にエンジンや発電機、ボイラーや焼却炉などの複数の排気管が隠れています。
この貨物船のファンネルは青字に白いラインが入ったデザインで塗られていますね。
アメリカ・カリフォルニア州のロングビーチに係留されているキュナード社の初代クイーン・メリーのファンネル。赤と黒のファンネルを見ると、あ、キュナードの船だ!とすぐに分かります。
これはカーニバルクルーズ社の客船です。形が特徴的ですね!筆者はエビフライの尻尾みたいだなあといつも思っています。
上から、アイーダ・クルーズ、コスタ・クルーズ、ディズニー・クルーズ・ラインの客船。ファンネルに企業のロゴが大きく描かれています。
まとめ
・船の煙突のことをファンネルという。
・もともとは黒く塗られていた。
・ファンネルのデザインから船の所属会社が分かる。
世界最古の木造船「太陽の船」
あらゆる歴史を語る上で「最古の〇〇」というフレーズ、よく出てきますよね!
ということで、今回は世界最古の木造船についてご紹介いたします。
そもそも世界四大文明(エジプト文明、メソポタミア文明、インダス文明、黄河文明)は、すべて大きな大きな川の近くで反映しました。人類は古くから水辺で生活してきており、漁業や公益の必要性から、水の上で人間や物資が濡れることのない乗り物として船が誕生しました。
木造船としては世界最古とされる「太陽の船」は1954年と1987年に、ギザの大ピラミッド付近で発見された2隻の船です。(ちなみに、「太陽の船」は通称で、正式名称は「クフ王の船」です。)太陽の船は紀元前2500年頃、当時のファラオ(古代エジプトの君主、王)「クフ」のために造られたとされています。
全長42.32m、全幅5.66mで材質は主に杉でできています。木造であるにも関わらず、非常に良い状態で発見されたようです。利用目的は明らかになっていませんが、実際に水面に浮かべた痕跡が残っているようです。約4500年前に実際に使われた船が今の時代に残っているなんて、歴史のロマンですよね!
エジプト文明はナイル川を中心に発展しました。古代エジプト人にとっては、宗教や文化、交通手段として重要な役割をはたしていました。太陽の船の発見により、今から4500年以上も前に、すでに複雑な構造の船を作る造船技術や操船技術があったということが分かりました。
船の歴史は本当に深いんですね・・・
まとめ
・世界最古の木造船はエジプトで発見された「太陽の船」
・建造されたのは紀元前2500年頃で、いまから約4500年前
・その時代から複雑な造船技術があり、ナイル川を中心にエジプトが栄えた
スタバのロゴにもなっている!全船乗りが恐れる「セイレーン」とは?
突然ですが、みなさんはスターバックスによく行きますか?
筆者の最寄りのスターバックスはいつも長蛇の列ができているほどの激戦店なので、並ぶのが嫌いな私はもっぱらドトールやタリーズを選ぶのですが、やはり列に並んでも注文したいほどの商品のクオリティとブランド力を持つカフェがスタバですよね!
今回はそんなスタバのロゴに関するお話をしていきたいと思います。
「え、人魚でしょ?」と思ったあなた、正解です!
では、なぜカフェなのに人魚なのでしょう?スタバのロゴの人魚は、正確には「セイレーン」といいます。セイレーンは歌声がとても綺麗で、その歌声を聞いた船乗りを魅了したということで、同じように、スターバックスも多くの人々を魅了したい、という思いが込められています。この、可愛らしい人魚のようなデザインのセイレーンは、実は船乗りを魅了するだけの存在ではないんです。
では本題に移っていきましょう!
まずは、セイレーンを辞書で調べてみましょう。
そうすると、
「ギリシャ神話で、上半身は女、下半身は鳥の姿をした海の魔物。美しい歌声で船人を惑わして、破滅させたという。」
と出ます。
ここで、皆さん、あれ?と思いません。
上半身は女、下半身は「鳥」の姿
スタバのロゴは人魚なのに、鳥になっていますね。
どっちが正しいの?となりますが、ギリシャ神話上のセイレーンは「鳥」の方が正しいです。実は、下半身が魚になったのは後世の話なんです。
なぜ鳥から魚になったのかは、後ほどお伝えしますが、まずは、下半身が鳥の方のセイレーンを描いた有名な絵画を一つみていただきたいと思います。
これです。
きっも・・・
この絵だと下半身どころじゃなくて、体の9割鳥ですね・・・
私はこの絵を見るまで、遊戯王カードのハーピィレディみたいなのをイメージしていたんですが、この絵が衝撃的すぎて、完全にイメージを塗り替えられてしまいました。
セイレーンはシチリア島近くのアンテモエッサ島に住んでいたとされています。
先ほどの辞書では、「美しい歌声で船人を惑わして、破滅させたという。」と書いてありましたが、もっと具体的に言うと、船乗りたちを遭難や難破に遭わせて、さらに、歌声に魅惑された船乗りたちを喰い殺したと言われています。食い殺された船名乗りたちの骨が、島に山を作った程らしいです。
めっちゃ怖いですね・・・急にホラー
下半身が、鳥から魚に変わった経緯について話しましょう。諸説あるらしいですが、一番有力なのは、誤訳が原因らしいです。
7世紀から8世紀頃に「怪物の書」というものが書かれました。作者は不明で、中世のラテン語で書かれています。これはなんなのかと言うと、超自然的な生物の目録。 今で言うポケモン図鑑みたいなものですかね。そこにはセイレーンも書かれていました。他に有名どころで言うと、ケンタウロスなんかも書かれていたみたいですね。
ここで何が起きたかと言うと、まず、セイレーンはギリシャ神話に登場する海の精なので、伝承もギリシャ語ですね。ギリシャ語では、「羽」と「鱗」が同じ単語だったらしいです。そこで、この本の作者が、本当は「下半身が羽で覆われている」とするべきところを「鱗で覆われている」と訳してしまい、後世になって「人魚」になったらしいです。
先ほどの元祖セイレーンは明らかに妖怪って感じでしたが、人魚になると美しく描かれるものが多いですね。
この絵なんか、男完全に落ちてますね。歌声で魅了したらしいですが、それだけなんだろうか、と疑いたくなりますよね。言い訳なんじゃなかと。あくまで歌声に魅了されたんであって、それ以外に魅了されたわけじゃないですから!みたいな。
ちなみに、最初の絵に戻りますと。
このマストに結ばれている人、よく生贄やおとりと勘違いされるんですが、この人は、あの有名なギリシャの英雄のオデュッセウスです。
セイレーンのいる海域を通る時に、オデュッセウスは自分の船員たちには耳栓をさせてセイレーンの歌声が聞こえないようにして、自分は耳栓をせずに自分の体をマストに縛り付けたました。1人だけセイレーンの歌が聞こえるオデュッセウスが暴れ出すと、歌に惑わされていると判断して船を速く進めてその海域を脱出して、オデュッセウスが落ち着くともう安全であると判断して、みんな耳栓をとって船を進めた。と言うことらしいです。
ちなみに、警告音を発するサイレンは、英語表記ではギリシャ神話のセイレーンと全く同じ綴りで、セイレーンの歌声が聞こえたら危険と言うことから、危険を知らせる音を「サイレン」と言うようになったと言われています。
また、同時に、セイレーンは美化されて音楽の守護神とされることもあります。サイレンを英和辞書で引くと必ず最後の方に「美しい歌手」と出てきます。
とまあ、こうやって見るとセイレーンって「恐ろしさ」と「美しさ」の両面を兼ね備えた、興味深い存在だと言うことがわかりますね。綺麗な花にはとげがあるみたいな。そういったところもまた魅力的なのかなとも思いました。
今回は船乗りに古くより恐れられてきたセイレーンについて解説していきましたが、いかがでしたでしょうか。
まとめ
・セイレーンはギリシャ神話に登場する海の精
・美しい歌声で航行中の人を惑わせて遭難や難破させた挙げ句食べたりする
・もともとは上半身が人間の女性で下半身が鳥の姿だった
【はじめに】船好きなら必ず受験したい!「ふねの文化検定」とは?
みなさん、はじめまして!
このブログでは「船の文化検定」、通称「ふね検」に出題される問題について、ふね検上級合格者の筆者が分かりやすく解説します。
船博士の称号が欲しい方、船の知識力を試したい方、誰でも受験できます!このブログを読んでこの検定に少しでも興味を持っていただければ幸いです。
1 ふね検の目的とは
”「船の文化検定」は、我が国の国民生活と歴史歴にも長く、深い関わりをもつ「船」をテーマに、船に関する知識の探求はもとより、広く海事思想や海洋レジャーの健全な普及発展を願って創設されたものです。”(船の文化検定試験問題集より抜粋)
つまり、四方を海に囲まれている日本に住んでいる我々は、海の恩恵をめっちゃ受けているよね!その海に欠かせないのが船だよね!だからもっと船の事を知ろうよ!っていうことですね。
2 どんな問題が出題されるの?
試験問題は以下の5つのジャンルから出題されます。4択のマーク式で、記述問題はありません。
- 船の歴史
- 船の文化
- 船の仕組み
- 船の運航
- 船の遊び
それぞれ10問ずつ計50問出題されます。試験時間は1時間なので、1問にかけられる時間は平均1.2分となります。熟考しすぎると見直しをする前に時間切れになってしまう恐れがあるため、注意が必要です。
3 合格基準は?
試験問題は、初級問題、中・上級問題の2種類です。初級に合格した方のみ中・上級試験の受験が認められ、正解率によって中・上級それぞれの合格が決まります。
初級:正解率70%以上
中級:正解率80%以上
上級:正解率90%以上
上級に合格するためには、誤答数を5問までに抑える必要がります。
一方初級は35問以上で合格、つまり15問の誤答まで許されるので、難易度は正直言ってそこまで高くありません。
4 いつ・どこで受験できるの?
ふね検は1年に1回実施されます。例年11月の第2日曜日に行われており、第18回目となる2021年度の検定は11月14日(日)開催予定です。
試験会場は以下のとおりとなっております。比較的多くの都市で実施されるので、地方の方でも受験しやすいですね!
小樽市、函館市、宮古市、秋田市、土浦市、東京都、横浜市、柏崎市、常滑市、津市、福井県おおい町、神戸市、西宮市、松山市、広島市、福岡市、唐津市、長崎市、津久見市、糸満市
※各都市の試験会場は、
でご確認ください。
余談ですが、筆者の受験地は初級・中上級ともに横浜市だったのですが、会場は山下公園に係留されている氷川丸の船内の一般人が入ることができない特別室だったので、普段は見ることができない氷川丸の船内を見学でき、非常に貴重な体験ができました。なお、氷川丸の入場料も無料だったので試験終了後は船内を見学することもできました。
5 受験資格は?
ふね検は誰でも受験することができます!また、問題文の漢字には全てふりがなが振ってあるため、難しい漢字が読めない小中学生でも受験することができます。実際に、筆者が中・上級試験を受験していた際、前方の席に小学校低学年の子が大人に混じって受験していました。将来は船乗りさんですかね?
まとめ
さて、今回はふね検の概要について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
試験が行われるのは11月なので、今から少しずつ勉強すれば余裕で間に合います!ふねの文化検定を受験することで、いつもは何気なく見ている船や港に関して、色々な事を再発見できるようになりますよ!