海自潜水艦〈そうりゅう〉衝突事故の時系列まとめ
2月8日10:58 足摺岬約30海里沖
海自潜水艦〈そうりゅう〉が民間貨物船〈オーシャンアルテミス〉と衝突
・「そうりゅう」は当時定期検査後の訓練中
・長期間任務から離れていた乗組委員の訓練は練度回復などが目的だった
・潜水艦の乗員3人が軽傷
・「そうりゅう」はアンテナなどがあるマストを損傷し、一時通信不能に陥る
・乗員は携帯電話を使って事故を報告
・「オーシャンアルテミス」は鉄鉱石およそ9万トンを積み、中国から岡山県倉敷市の水島港に向かっている途中だった。乗組員は中国人約20人。
SS-501「そうりゅう」
基準排水量:2,950t
長さ:84m、幅:9.1m、深さ:10.3m、喫水:8.5m
主機械:ディーゼル2基、スターリング機関4基、推進電動機1基主機械 ディーゼル2基、スターリング機関4基、推進電動機1基
馬力:8,000PS
速力:約20kt
主要兵装:水中発射管一式
シュノーケル乗員:約65人
OCEAN ARTEMIS
IMO: 9534987
船種:ばら積み貨物船
MMSI: 477814500
Call Sign: VRHN3
船籍:香港
総トン数: 51208
載貨重量(夏): 93103 t
船長 x 最大船幅: 229 x 38 m
建造年: 2011
母港: 香港
2月8日14:20頃
「そうりゅう」母港の呉基地(広島県)に一報を入れる
そうりゅうの通信機能が停止したため、携帯電話の圏内まで航行したことにより、事故から約3時間20分後の報告となった
2月8日夜
防衛省:海上幕僚監部内に事故調査委員会を設置
岸信夫防衛相コメント「潜望鏡で相手を確認し、回避措置を取ろうとしたがよけきれなかった。誠に残念だ」
2月9日7:00
第5管区海上保安本部(神戸):高知港でそうりゅうの調査を始める
2月9日
衝突した海自の潜水艦、浮上時のソナー確認が不十分だった可能性
第5管区海上保安本部(神戸)は、業務上過失往来危険の疑いもあるとして調査に当たる
防衛省関係者
潜水艦は浮上する際、ソナーで付近を航行中の船舶などを把握し、海面近くに達すると、潜望鏡を海上に出して目視でも周囲を確認する。今回の事故では、潜望鏡での確認時に貨物船を発見したが、すでに衝突を回避できないほど距離が接近していた。海自幹部によると、現場付近の潮流は複雑で、こうした海域では音波が屈折し、ソナーによる探知が困難な場合がある
山村浩海上幕僚長
「通信アンテナが全部、一時的にでも使えなくなるという想定はなかった。想定外は許されない」
2月10日9:30
海上保安庁第五管区海上保安本部:朝から潜水士らを潜らせて神戸港に停泊しているオーシャンアルテミアスの損傷などを調べる
2月10日午後
海上保安庁第五管区海上保安本部:「オーシャンアルテミス」の水面下の船首付近に、亀裂や多数の擦過痕が確認されたと発表
擦過痕などがあったのは、「バルバスバウ」と呼ばれる船首部分の水面下にある球状の突起付近で、8~13メートルの範囲に広がっていた。亀裂は長さ約20センチで、船内に海水がにじむ程度の深さだった。
これまでの調査から両船が接触した可能性が濃厚となり、高知海上保安部が業務上過失往来危険や業務上過失傷害の疑いで捜査する。
運輸安全委員会:原因究明のため、高知港沖に停泊するそうりゅうの現地調査を開始
艦橋右側面にある「潜舵(せんだ)」と呼ばれるかじが折れ曲がった状況を目視で確認したほか、一部乗員への聴取を実施した。今後1年をめどに調査報告書をまとめる。
2月11日
運輸安全委員会:神戸港で貨物船の調査を実施
事故の状況などについて貨物船の船長などから聞き取りを行う
2月13日朝
「そうりゅう」:停泊先の高知港から神戸港に向けて出港
移動支援を行う救難艦「ちはや」とともに、和歌山の由良港を経由して神戸港に入港する予定。海上保安庁の捜査や海上自衛隊の事故調査などが続けられるほか、損傷した船体の修理も行われるものとみられる。
【事故原因考察用記事】